ネットの跳梁に加えて昨年からの新型コロナの影響もあり、出版界も他業界と同じ苦戦が続いています。新聞を含めて読者の活字離れが加速しているのです。テレビも安泰ではありません。一昨年から広告費がネットに追い越されています。
そんな中でも、小誌は読者の皆さまの応援のお陰で創刊から29年目に突入することが出来ました。毎月の編集に追われているうちに、もう342冊も作ってきたのかと改めて感慨に浸ったところです。
そんなところへお二人の読者からお叱りを受けました。3月号に2つの誤植があったのです。10ページの「東北新社」とすべきところを「東北新車」と、また12ページの「河村」とすべきところを「川村」と間違ってしまいました。
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校正、担当者、小生の3人が精読している筈がこんな為体です。編集者として心底から恥ずべきことで、60年以上も雑誌作りを続けてきたにも拘わらず完全に弛緩していたのです。私を先頭に社員一同、気を引き締めて参ります。
読者の皆さまからは、毎日、5〜10通の葉書や手紙、電話でのご意見や問い合わせがあります。この編集後記へのご批判もあり真摯に受け止めております。この欄が縁で、東日本大震災で大被害を受けても地元で新聞を発行し続けた藤田さんご夫妻とは今も交流を続けています。
「銃後の少年」だった戦争体験を記したときは、同世代の数人からより過酷だった体験を吐露した手紙をいただきました。寄せられたご意見やご感想は、全て読んでいますが、編集者冥利に尽きます。変わらぬご支援のほどお願い申し上げます。

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2月末に40年住み慣れた世田谷区から大田区にあるシニア・マンションに転居しました。引っ越しがいかに大変なことか改めて思い知らされました。
40年前はさまざまな手続きは全て妻に任せていましたし、40代だったため一気に敢行しました。今回は子どもたちに助けられて断捨離に取り組みましたが、これが難儀でした。
いつか読もうと思っていて積んでいた本や、今後は絶対に使わないであろう食器や家具のなんと多かったことか。段ボールの山を見ているうちにうつになりそうでした。
書類の整理をしているうちに約40年前に父から来た手紙が見つかり、思わず読みふけってしまいました。少年時代に買った本や友人との写真にも思いが籠っており、整理の手が止まったものです。
シニア・マンションに移ったものの、健康なうちは毎日、出社してこの仕事を続けるつもりです。しかし老害といわれないように、『テーミス』を次世代に引き継ぐ用意は進めています。
編集主幹 伊藤寿男
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