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小泉進次郎‐農協改革空回りで成果なし
全中・全農両会長も改革反対派へ
「改革する」というイメージだけが先行しブレーンも権限もすべてが足りなかった


■「いった」「聞いた」だけの改革に
「今まで見られなかった世界を見ることができた。農政の転換点という思いで、全力でやってきた」  8月22日、自民党の農林部会長を2年間務めた小泉進次郎氏が交代した。農協改革など、競争力強化プログラムの取りまとめにあたってきた進次郎氏は「取り組みはまだ緒についたばかり。農政新時代に向け、さらなる展開を期待する」と語り、後任の野村哲郎参院議員に13ページの“引き継ぎ書”を手渡したという。  やれることは、すべてやった──。進次郎氏の口ぶりからはそんな思惑が感じ取れるが、本当に彼の農協改革は、成果があったのか。  農政をウオッチしてきた全国紙経済部記者がいう。 「進次郎氏という発信力の強い政治家が農林部会長のポストを降りることで、一般市民が改革に向ける視線は確実に弱まる。つまり『改革する』というイメージだけが残り、農協などにとっては非常に都合のいいタイミングの交代になった」  そもそも、昨年11月に農家の所得を上げるため、政府・与党が決めた改革プログラムのスキームは、対象となる全農などの自主的改革をフォローアップするものでしかない。つまり国民の改革圧力が弱まれば、中身は確実に骨抜きにされる。  ある農業ジャーナリストは「進次郎氏の改革を採点するなら100点満点中、0.2点だ。厳しいかもしれないが、やらないよりマシというレベル。その内訳は短期間で農家など現場を訪問し、意見を直接『聞いた』ことが0.1点。そして『不要な規制をなくす』と『いった』ことが0・1点。彼の改革は空回りで成果は何もない」と酷評した。  このジャーナリストによれば、進次郎氏の最大の失敗は経済的分析ができる農政ブレーンがいなかったことに尽きるという。たとえば進次郎氏は記者会見の席に段ボールを積み上げ「梱包用の段ボールが高すぎる!」と叫んだことがあるが、海外では再利用可能なコンテナをリース契約し、コストを下げる方法が主流になっている。このことを進次郎氏本人に伝えた人もいたが、彼は国民へのアピールにならないと思ったのか、聞く耳を持たなかった。  父・純一郎元首相の影響か、彼の手法は「農協が農家から搾取している」構図を作り出し、「農協という巨大な敵を、何としても倒す!」というものでアピールが強すぎた。もう一方の当事者である農林水産省が農協や農家ともたれ合い、利権構造の構築にどう関わってきたかという肝心なところは、ハナからスルーしてしまっている。



■農水省や族議員も襲ってくる
 農協は全中(全国農業協同組合中央会、全国JAの指導など)、全農(全国農業協同組合連合会、農産物の販売や流通など)、農林中金(農協貯金などの中央金庫)、JA共済(全国共済農業協同組合連合会)などの総合事業体であり、組合員数は約1千万人(農家ではない“准組合員”約560万人を含む)の巨大組織だ。  それだけに本気で農協にメスを入れようとすれば、利権構造に組み込まれた農水省や族議員、すべてが抵抗勢力となって襲いかかってくる。進次郎氏が切り込むにはブレーンも権限も、すべてが足りなかった。  こうしたなか、農協改革の抵抗勢力である全中・全農の会長人事が相次いで発表されて話題になった。  8月10日、全中は奥野長衛会長に代わり、中家徹JA和歌山中央会長を新会長に選出した。奥野氏は改革派と呼ばれ、進次郎氏の要請に応えるかたちで農業資材価格引き下げなどに応じてきた。だが、内部では奥野氏に対する不満が高まり、批判票が中家氏に集中したのだ。  結果、奥野氏の後継とみられた対立候補は大敗してしまった。  中家氏は会見でこういった。 「政府が私たちの思いと逆のことを出したら、毅然とした対応をとる。また、(政府が求める)金融事業の分離については農業者の所得増大のため、総合事業体でなければならない」  これは進次郎氏がこれまで進めてきた農協改革に対し、真っ向から対決姿勢を示したといっていい。  日本農業の実態に詳しいキヤノングローバル戦略研究所の山下一仁氏が解説する。 「'15年8月にJA全中を一般社団法人化する改正農協法が成立したように、農協改革は安倍政権の目玉改革だった。だが、全農などの巨大農協を株式会社化して独禁法を適用し安く資材を提供させようとしたり、農業者でなくても、出資金さえ払えば誰でも農協の金融サービスなどを利用できる准組合員制度を見直そうとしたが、いずれも腰砕けに終わった。改革は中途半端だ」  また7月には、全農で長沢豊新会長が誕生している。しかし、問題はこれまで「JA全農のドン」として進次郎氏の改革に徹底して反対してきた、中野吉實前会長の動向である。 彼は7月末、マスコミのインタビューで農協改革について聞かれた際、「(政府は)誰かを悪者にしなければならなかったのだろう」と開き直り、全農の株式会社化についても「絶対すべきでない!」と強く否定した。結局、政府と農協の関係が悪化しただけで、改革は一歩も進んでいない。



■小泉農林部会長は利用された
 自民党は'12年に政権に復帰した際、農協改革を売り物にしてきた。そのとき、格好の広告塔となったのが進次郎氏だったのだ。  彼はもちろん農水族議員ではない。そのとき、右も左もわからない進次郎氏をレクチャーしたのが農水省の奥原正明事務次官だったという。 「奥原氏は農水省きっての農協解体派で、異色官僚として知られていた。そんな彼が菅義偉官房長官の後押しで次官に就き、進次郎氏とともに農協改革に踏み込んだ。過激な改革案は国民へのアピールにはなったが農協関係者からの大反発を招き、その火種が今もくすぶっている」(農林中金に詳しい金融ジャーナリスト)  進次郎氏がこのタイミングで農林部会長を外れた背景には、政府と農協の関係改善の意図もあるという。農協としても今後、EPA(経済連携協定)などの国際交渉は政府と歩調を合わせなければならないシーンが増えてくる。前出の金融ジャーナリストは「内閣改造で農水相に就任した斎藤健氏に期待が集まっている。バランス感覚があり、国際交渉にも長けている。政府と農協との調整もできるだろう」と評価した。  秋には農業ワーキンググループで林業改革、そして民間企業への開放を含む水産業改革が議論される。このときに政府がどう動くかで、進次郎氏が何をしたか、そしてしなかったのかがチェックされることになる。  国の根幹を担う農業改革は国家的な課題だ。それを専門家のスタッフもつけずに進次郎氏を農林部会長に抜擢した安倍首相らの責任は重い。

(2017年9月号掲載)
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