トップへ戻る ºÇ¿·¹æ ÄÌ¿®ÈÎÇä ¥Æ¡¼¥ß¥¹¤È¤Ï ¹­¹ð·ÇºÜ  
<お知らせ> 5月中に新規お申込みいただいた方に小社刊の健康情報誌『くらしとからだ』を差し上げます。

最新号の目次へ
最新号の目次はこちらです
次号は6/1発売です!
定期購読申込み
半年/年間定期購読のお申込を
ネット上で受付しています。
  購読の更新・中止について

過去のタイトルを検索する
記事のダイジェスト版が毎月
届くメールマガジンです!

配信停止申込み
  最新号の目次を更新しました
  朝日新聞の報道を正せば明るくなる
『日本人が勇気と自信を持つ本』 好評発売中!
テーミスの雑誌・書籍がネット上でお買い求めいただけます
雑誌コーナー
テーミス
バックナンバー
書籍コーナー
書籍コーナー
  往来之記
  今月の立ち読み記事
  がん特集記事
  広報担当者様へ
  テーミスとは
  ご意見はこちらまで
  テーミス編集部 ブログ
トップページ 今月号の目次立ち読み記事(無料)ページ

森信親金融庁長官 ‐金融界壟断へ大反発起こる
麻生副総理財務相・菅官房長官の信頼を背に
地銀経営統合や事業性融資を急ぎ強行する森路線に「政策金融」の批判も


■行政よりは腕力勝負になって
 金融行政の実力者といえば、今や、現職3期続投が既成事実のように語られ始めている森信親金融庁長官を置いてほかにはいない。安倍政権の信頼を得て、森氏の号令の下で金融分野では改革機運が高まっている。  森氏がこれまで実現させた骨太政策は少なくない。年金積立金による株式運用拡大を中核とするGPIF(年金積立金管理運用独立特別法人)改革、今後の人口減少を見据えた地銀の業界再編、コーポレートガバナンスコード、スチュワードシップコードの導入による資本市場のガバナンス改革、さらにはゆうちょ銀行の株式、外債運用の積極化等々。まさに、大ナタを振るい続けているのが森金融庁である。  3期を務めた金融庁長官は過去に2人いる。五味廣文氏と畑中龍太郎氏である。五味氏は、竹中平蔵金融担当相の下で不良債権処理を断行した一方で、日銀出身の経営コンサルタント・木村剛氏と密接な関係を築いた。木村氏は、そのころ悪名高き「日本振興銀行」を設立したが、いまだにその認可プロセスは不透明なままとなっている。一方、畑中氏にはそうした暗部はなく、野村証券のインサイダー取引など不正事件処理を着実にこなした実力長官である。  森氏はこのままだと、畑中氏に続く3人目となるが、じつは畑中氏の3期目に、最も強い批判をしたのが森氏である。金融業界からは森氏の言行不一致に批判があるが、さらにある有力地銀幹部はこう語る。 「腕力勝負のやり方であり、本来の行政とはかけ離れている」  その一例が、地銀の経営統合問題である。森氏は、人口減少問題を踏まえて各地の地銀の経営統合を促している。確かに、人口が急速に減少するなかで、各地の金融秩序を維持することは難しいに違いない。そこで、森金融庁は地銀に対して経営統合へのプレッシャーをかけ続けているのだが、それに大きな支障が生じたのが昨年末のことだった。ふくおかフィナンシャルグループと長崎県の十八銀行の経営統合問題に対して、公正取引委員会が「待った」をかけたのだ。



■公取委が統合に待ったの矛盾
  経営統合によって長崎県内における統合銀行の地域シェアが、従来設定してきた地域独占ラインに達するというのが公正取引委員会による「待った」をかけた理由であり、おまけに、経営統合の責任者だった十八銀行の役員が飛び降り自殺するという悲劇まで誘発してしまった。これについて、別の地銀トップも森金融庁をこう批判する。 「経営統合と独禁法は表裏一体の関係にある。ところが、この問題を公正取引委員会と調整もせずに、闇雲にわれわれの尻を叩き続けたのは無責任としかいいようがない」  水面下でうごめく、こうした批判を意識して、金融庁は3月、地銀担当の西田直樹審議官を長崎に派遣し、地元財界関係者を集めて説明会を開催。その場において、西田氏は「金融庁が経営統合を働きかけたという誤解の声も出ている」という主旨の発言をし、金融庁としての「身の潔白」を弁明している。だが、今のところ、少なくとも地銀業界や各地の経済界は金融庁への不信感を緩めようとはしていない。  森路線への批判はほかにもある。森金融庁は企業向け融資について「担保に依存しない事業性を評価した融資」を呼びかけている。従来、担保に偏重しすぎた融資姿勢の転換を求めたものであり、狙いは間違ってはいない。  しかし、地銀統合問題と同様に、「行政当局としてやるべき順番がおかしくないか」という批判は、銀行業界のみならず、金融庁と同様の中央官庁などからも上がってきている。「事業性を評価する枠組みを整備せずに『行動せよ』は、行政機関のそれではない」という見方がそうである。これではアベノミクスを支援する「政策金融」ではないかという声さえ聞かれる。  たとえば、企業が抱えた在庫の評価は重要であり、事業性融資を行っている米国では在庫の時価を算出し情報提供するインフラがあるが、わが国にはまったく整備されていない。これは銀行業界単独で構築できるものではなく、産業界まで含めた全体的な取り組みが欠かせないものの、その動きはいまのところ、皆無に近い。結局、各銀行が「鉛筆なめなめ」という曖昧な状態なのだ。  ある外資系銀行幹部は「滑走路が整備されずに『飛べ』と言われているようなもの」と批判する。  しかも、これまで森氏が地銀の頭取たちの前に公言してきた「ゆうちょ銀行は変わるので、対立せずに協力関係を築くように」というアドバイスも、その前提が崩れかけている。ゆうちょ銀行が最近、新規業務として「個人向けローンの解禁」の意欲を明確化させてきたからだ。



■今や反対意見に耳を傾けない
 実力長官と評される森氏の力の源泉は、「首相官邸とのパイプの太さ」にあるといわれ、麻生財務相兼金融担当相や菅官房長官からの信認も厚い。これほどに政治のバックアップに支えられた金融庁長官は、竹中金融担当相との蜜月を築いた五味元長官のみである。しかし、五味氏の金融行政はその後、日本振興銀行の経営破綻と日本初のペイオフ発動につながり、厳しい資産査定を中核とする金融検査マニュアルの導入は結局、担保融資を一段と強める結果を生んだ。  そんな五味時代を上回るほどに政治密着型の森路線は今後、わが国に何をもたらす可能性があるのか。ある金融庁OBはこう語る。 「森氏が指摘してきたことは正しい。しかし、それらは計画的に積み上げ方式でやっていくべきもの。そのためには、もっと広く耳を傾けないといけないのだが」  ところが、森氏は次第に「聞く耳をもたず」になっているというのがこの人物の森評である。金融業界関係者も「意見が合わないと話を聞こうとしない」と不満と困惑を漏らしているのが実情だ。そのなかで決済改革、経営統合等々を急げば、「システム投資などのコストと固定資産償却が膨大化する恐れも否定できない」との懸念も、銀行業界から投げかけられている。  もちろん、大改革を断行すれば、過去の遺産処理は避けては通れない。あるいは、過去の遺産処理があるからこその大改革といえるが、マイナス金利のなかで収益力の激減が予想されるなかでは、それはダブルパンチにもなりかねない。それが激しくなれば、銀行の与信能力は削ぎ落とされる。森路線がこのままで3期目に突入するならば、少なくとも、銀行業界に燻る森路線への不満はまちがいなく高まる。そのとき、森氏は聞く耳を持つのかどうか。森路線の真価が問われるのはこれからだ。

(2017年5月号掲載)
ページトップへ
 

Copyright (c) 2002- Themis Co.,Ltd All Rights Reserved.
このサイトに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。
当ページへのご質問・お問合せは【こちら】までお願い致します。