トップへ戻る ºÇ¿·¹æ ÄÌ¿®ÈÎÇä ¥Æ¡¼¥ß¥¹¤È¤Ï ¹­¹ð·ÇºÜ  
<お知らせ> 7月中に新規お申込みいただいた方に小社刊の健康情報誌『くらしとからだ』を差し上げます。

最新号の目次へ
最新号の目次はこちらです
次号は8/1発売です!
定期購読申込み
半年/年間定期購読のお申込を
ネット上で受付しています。
  購読の更新・中止について

過去のタイトルを検索する
記事のダイジェスト版が毎月
届くメールマガジンです!

配信停止申込み
  最新号の目次を更新しました
  朝日新聞の報道を正せば明るくなる
『日本人が勇気と自信を持つ本』 好評発売中!
テーミスの雑誌・書籍がネット上でお買い求めいただけます
雑誌コーナー
テーミス
バックナンバー
書籍コーナー
書籍コーナー
  往来之記
  今月の立ち読み記事
  がん特集記事
  広報担当者様へ
  テーミスとは
  ご意見はこちらまで
  テーミス編集部 ブログ
トップページ 今月号の目次立ち読み記事(無料)ページ

がんなど難病が超高額薬で完治する?!
患者や家族は借金してでもと
脊髄性筋委縮症・C型肝炎・B細胞リンパ腫などを撲滅する薬だというが


■重病患者や家族に光明を灯す
 12年前、某出版社幹部は妻が末期のがんに襲われたとき、「米国のNASAには一発でがんを退治する薬がある。一回、何千万円だ」とある人から聞かされたことがあった。  それから数年後、ある評論家が末期がんのときにも「NASAでは」の話が出たという。さらに今から6年前、某新聞社社長が亡くなったとき、グループ幹部の一人が「NASAへ連れて行けばなんとかなったがもう身体が弱っていた」と残念がっていた。  当時は具体的にどういう薬だったのか判然としなかったが、最近の超高額薬の相次ぐ登場は、それが現実化してきた結果ではないのか。難病の患者とその家族にしてみれば、「借金してでも」と超高額薬に縋りたくなるものである。  その典型的ケースが遺伝によって、筋力低下や筋萎縮により身体が動かせなくなる難病「脊髄性筋萎縮症」(SMA)だ。なかでも最も重症とされ、乳児・小児期に発症する「1型」では、患者の多くが2歳前に亡くなるか、人工呼吸器の装着などを余儀なくされる。出生2万人あたり1人前後が発症し、患者は生まれながらに、数々の苦難を強いられる。そんな重病を抱える患者・家族にとって、光明となる薬が登場した。  米国食品医薬品局(FDA)は5月24日、スイスのノバルティス社が申請していたSMA治療薬「ゾルゲンスマ」を承認した。'18年4月に同社が買収した米国のバイオ医薬品企業アベクシス社が開発した新薬で、SMA治療が「1回」の投与で完遂できるという画期的なものだ。 「ゾルゲンスマ」による治療法は、「遺伝子置換療法」と呼ばれる。SMA患者では、運動や筋力維持に不可欠な脊髄の「運動ニューロン」が消失する。運動ニューロンの維持に必要なタンパク質を生み出す「SMN1遺伝子」が変異しているためだ。 「ゾルゲンスマ」は、正常な遺伝子をウイルスの殻で包んだ構造をもつ。静脈に注射すると、異物侵入を防ぐ脳のバリアである「血液脳関門」(BBB)を突破。脊髄に達し、欠陥のあるSMN1遺伝子と置き換わり、運動ニューロンに必要なタンパク質を作り続けられるようにする。  公表済みの臨床試験結果では、20か月時点で、治療を受けた15人の乳児全員が永続的な人工呼吸器の使用などを行わずに生存。こうした条件下の生存率が通常8佑箸気譴襪覆、顕著な効果を知らしめた。 「いままで2歳までに死んでしまうリスクと向き合わなければならなかった病気が、歩いたり、走ったり、運動できるようになる可能性がある。そんな大きな期待にも応え得る」  同社関係者はこう強調する。日本でも、昨年11月に薬事申請しており、年内の承認も見込まれている。  一方、この「ゾルゲンスマ」は、製薬産業や、各国の医療制度を考えるうえで、近年の最大のテーマとなっている課題を再び喚起することになった。「高額薬剤」問題である。



■「ゾルゲンスマ」は2億3千万円
 FDAが「ゾルゲンスマ」を承認した5月、ノバルティスが承認の直後に発信したニュースが、世間を大きく賑わせることになった。「ゾルゲンスマ」の薬価を、212万5千法別鵤臆3千400万円)に設定する、という内容だ。  薬を1回投与するだけで2億円超のコストとなるのは、過去の高額薬剤に比べても極めて異例の金額だ。価格は適正か、どのように自国に導入するかについて、世界中で論争が巻き起こっている。  ただ、ノバルティスの主張する価格設定の根拠を踏まえると、一概に「高すぎる」と批判するのは難しい。  どういうことか。SMA治療薬を巡っては、'16年末に米国、日本では'17年7月に承認された米バイオジェンの先行品「スピンラザ」がある。ただ、こちらは、1回投与の「ゾルゲンスマ」とは異なり、4か月に1回投与が必要であり、生涯に渡って継続的な治療が必要になる。  ノバルティスは「スピンラザ」による治療コストが、「10年間で推定410万法廚隼愿Αこれに対し、「ゾルゲンスマ」は、その概ね「50諭廚箸掘∪掬性を主張した。 「ゾルゲンスマは、画期的な1回限りのSMA治療であり、遺伝子治療の歴史的な進歩。長期に渡って、大幅なコストの削減を実現できる」──ノバルティスのヴァサント・ナラシンハンCEOも強調した。  日本の薬価に置き換えても、似たような理屈は成立する。日本の「スピンラザ」の薬価は、1瓶約932万円で、年3回投与で約2千796万円。1瓶が平均1千620万円とされる米国よりも遥かに低い価格ではあるが、それを踏まえても約8年で「ゾルゲンスマ」の2億3千400万円の米国価格を超える。もちろん、「本当に1回だけで治療が完結するのか」「追加的な医療コストが必要になるのではないか」といった、未知の課題も残されている。  日本では、「ゾルゲンスマ」の承認や保険収載を前に、C型肝炎治療薬の「ソバルディ」「ハーボニー」や、免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」などを巡る高額薬剤論争が過熱している。使用対象の患者数の変化に合わせて薬価を変更するなど、抜本改革も'18年度から始まった。



■WHOは「薬価の透明性」決議
 今後、「ゾルゲンスマ」の価格を議論する際にも「スピンラザ」を比較対象にすると見られるが、「米国ほどの価格はあり得ない」(厚生労働省関係者)との見方が支配的だ。世界的に類を見ない国民皆保険を導入し、医療費の多くを税金や保険料で負担する日本で、近年、発売が続いている高額薬剤を「現行の制度のままで、受け入れ続けるのは不可能」(国会議員関係者)との見方も根強い。  目下、問題となっているのは、「薬価の透明性」だ。類薬のない画期的な薬は、企業が提示した「原価」をベースに値付けするが、その原価の根拠が「不透明」と指摘されている。  5月22日に薬価収載され、約3千349万円の価格がついたノバルティスのB細胞リンパ腫治療薬「キムリア」も、原価の根拠となる企業推定の対象患者数が「少なすぎるのではないか」と国会で批判を受けたばかりだ。原価の根拠を開示すれば、薬価が加算されるルールがありながらも、ノバルティスは開示に消極的で、加算が抑えられた経緯もある。  原価の開示に関しては、世界的にも問題認識が広がっている。5月のWHO総会でも、薬価の「透明性の向上」に関する決議文が採択された。 「2億円超の過去最高額の薬」というレッテルのもと、間もなく日本に上陸する「ゾルゲンスマ」。財政的な話題が取り沙汰されるなか、その効果や1回限りの投与といった点への評価は高く、かつピーク時でも患者数が「極めて限定的」といった予測もあり、「日本で初めて1億円超の薬価となってもおかしくない」(製薬企業関係者)との声もある。

(2019年7月号掲載)
ページトップへ
 

Copyright (c) 2002- Themis Co.,Ltd All Rights Reserved.
このサイトに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。
当ページへのご質問・お問合せは【こちら】までお願い致します。