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是枝監督『万引き家族』に毀誉褒貶湧く
パルムドール賞で脚光浴びた
主義主張は露骨に出さないが自虐史観を持つ氏は次に旧満州が舞台の歴史映画へ


■TV制作会社のADで腕磨き
 是枝裕和監督の『万引き家族』が絶好調だ。観客動員は300万人を突破、興行収入は40億円を超えた。作品によっては上映を終了する公開7週目にしていまだ勢いがある。邦画のヒットの目安は興収10億円といわれる中、是枝作品はこれまで決して大ヒットを連発するような映画ではなかった。『そして父になる』('13年)こそ主演の福山雅治人気もあって30億円を超えたが、「商業的成功よりも映画芸術として評価されるタイプ」(映画関係者)とみられていた。  ところが今回、先述の最新作がカンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞。日本人としては今村昌平監督の『うなぎ』以来21年ぶり。衣笠貞之助、黒澤明ら名匠に続く史上4人目の快挙となった(今村監督のみ2回受賞)。 「ヴェネチア、ベルリンを含めた世界三大映画祭の中でもカンヌは開催規模、国際的評価ともに別格。国際的評価の高い日本監督といえばヴェネチア映画祭で最高賞をとった北野武監督だったが、是枝監督はそれ以上で、文字通り『現役監督トップ』の座を手にした」(映画関係者)  是枝氏は'62年生まれの56歳。今でこそ日本を代表する映画作家の一人として知られているが、もともとADから叩き上げたテレビ業界出身。作家性・芸術性を独立系監督として追求してきたプライドから、大手主義、商業主義に走りがちな業界批判をすることもある。  是枝氏は幼いころから母親の影響で映画好きになり、早稲田大学文学部に進学してからは毎日のように映画館に通い詰めたという。合わせて大学ではシナリオの勉強に励み、卒業するころにはいっぱしの脚本を書く技術を身に付けていた。  卒業後は番組制作会社・テレビマンユニオンに入社。ADとしてハードな日々を過ごしながら、自分が作れるものを模索した結果、ドキュメンタリー制作へと行き着く。もともとテレビマンユニオンはTBSの労働組合が起こしたストのあおりで退社したディレクターらが興した会社で、創業時から社員の独立性を重視した組合的な経営手法で知られる。当時の若き是枝氏も、公害病裁判や福祉・教育問題などかねてから興味のあった社会問題について、ひとりカメラを手に追及していった。  こうした経験をもとに、'95年『幻の光』で映画監督デビュー。宮本輝の小説を、当時無名だった江角マキコを主演に実写化した人間ドラマだ。配給会社も公開劇場も決まらぬ見切り発車での製作だったが、これがいきなりヴェネチア国際映画祭でオゼッラ・ドゥオロ賞を受賞する。



■年金詐欺事件にヒントを得て
 それでも是枝氏は社内の閉鎖的な映画製作体制には不満があったようで、2作目『ワンダフルライフ』('99年)からは、外部のプロデューサーでのちに盟友となる安田匡裕氏と二人三脚で、映画作家としての道を歩んでゆくことになる。 『誰も知らない』('04年)でのカンヌ映画祭最優秀主演男優賞(柳楽優弥)など、安田氏と手がけた作品は多くの映画賞受賞を重ね、海外での是枝監督の評価は高まっていった。 『万引き家族』では、政治スタンス、発言にも大きな注目が集まった。  韓国の新聞社、中央日報が報じたインタビューによれば「亡くなった親の年金を受け取るために死亡届を出さない(日本での)詐欺事件」が映画製作のきっかけだそうだが、続けて監督は社会批判をぶちかます。いわく、現代日本では共同体文化が崩壊し、国粋主義だけが残ったと分析。さらに話題は歴史認識にまで及び、日本が「歴史を認めない」と断じ、「アジア近隣諸国に申し訳ない」となぜか自虐史観と謝罪の言葉まで披露している。また、安倍政権の長期化により国民が「希望を失っている」と、厳しい批判を投げかける。  家族ぐるみで窃盗をして暮らしている舞台設定や『万引き家族』というタイトルも、日本を実態以上に悪く描いているのではないかとの憶測も呼び、保守層の反発を買った。  過去の発言から是枝氏はリベラルな思想を持つとみられているが、決してそれをあからさまに作品にメッセージとして織り込むことはなく、むしろ題材や登場人物から距離をとって解釈は観客にゆだねる、静かな問題提起を行うタイプの社会派作家として評価が高い。 『万引き家族』も、血のつながらない人間関係にはたして家族同等の絆が生まれるかを主題としており、そうした「家族関係の多様性」が、事実婚やLGBTを受け入れる欧州の価値観に合致したがゆえの受賞だ。 「家族」をテーマにした作品が多いため、小津安二郎監督とよく比較される。『歩いても 歩いても』では、家父長制的な一家の家族関係と心情の機微を、鋭い人間観察眼で描いてみせた。特段の事件も起こらないのになぜか目が離せない、そんな語り口はどこか小津ドラマをほうふつとさせる。また『海街diary』では、過去作を研究のうえ「小津調」を狙って撮影したと是枝氏自身が語っている。  とはいえ、小津氏の場合は常に脳内に完成された理想の映像があり、その再現のみに全力を尽くしたが、是枝氏の作風は大きく異なる。現場で脚本さえも書き換えるし、実力のある役者にはある程度演技面も任せる。自分のイメージと違う動きだからと、女優に数十回のNGを出した小津氏とは正反対といってもいい。



■補助金を受けても祝意は拒否
 是枝氏の思想や作品のテーマはどうあれ、世界的な映画祭を日本人として制したことは評価、祝福されてしかるべきだろう。だが氏が批判した安倍政権からの祝意は拒否している。「公権力から潔く距離を保つ」自身の価値観によるもので、自治体等からの顕彰も断ったということだ。もっとも、林芳正文部科学相が国会質問で指摘されるまで、政府が是枝氏の受賞を事実上、無視していたのも事実だ。  それでも、『万引き家族』は文化庁の文化芸術振興費補助金を受けて製作されたものであり、金を受け取りながら祝意は否定、というのは礼を失するのではとの反発は根強い。この件について氏は自身の公式サイトで、助成金については感謝しつつも「まだまだ映画文化振興の為の予算は少ない」「映画製作の『現場を鼓舞する』方法はこのような『祝意』以外の形で」と、政治的な要求とも取れる発言をしている。  何かと注目を集める是枝氏だが、受賞後の発言では「これで企画が通りやすくなる」点を一番喜んでいた。これまで何度か却下された旧日本軍と満州を舞台にした歴史映画を念頭に置いているようだ。今の是枝氏ならばどんな企画でも通るだろうが、自虐史観による近代戦争史の映画となれば『万引き家族』以上に物議をかもすだろう……。

(2018年8月号掲載)
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