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大腸がん‐内視鏡+AIで完全克服へ
山田真善国立がん研究センター中央病院内視鏡科医師ら
検査では3〜10佑慮落としもあるがNECと開発したAIサポートシステムで防ぐ
ジャーナリスト 安達 純子


■画像5千例を「AI」に学習させ
 国内の男女合わせて罹患率第1位の大腸がんでは、年間4万8千人以上の人が命を奪われている。大腸がんの増加は、戦後の食の欧米化と関連が深いといわれるが、大腸内視鏡検査による早期発見・早期治療で、予後が改善する人も増えた。  大腸内視鏡検査では、大腸がんを見つけることに加え、がんになる前の病変(前がん病変)や、がんの発症リスクの高いポリープを切除すれば根治につながる。しかし、そこには落とし穴があった。世界的な研究によれば、大腸がん全体の3〜10佑如大腸内視鏡検査後の大腸がんが見つかっており、問題になっている。つまり、大腸内視鏡検査で見落とされ、浸潤がんになったケースだ。  大腸は、盲腸から上行結腸(右側の結腸)、横行結腸、下行結腸(左側の結腸)、S状結腸、直腸と、約1・6辰猟垢気砲覆襦蛇腹状で長いゆえに、見逃されやすい病変もある。世界的なさまざまな報告では、見逃された病変は、右側の結腸、比較的小さな病変、平坦で病変が紛らわしいといったケースが多い。医師の技術レベルの高さや豊富な経験があれば、見逃しは起きにくいが、医療機器が向上しても、医師によっては見逃してしまうことがあるのだ。  高齢化社会が進むと、加齢に伴いがんの発症率も高まる。検査精度を医師の技量だけに頼るのは、たくさんの患者を診なければならない医師の負担が重い。どの医師にも、病変を見逃さないような技術革新は不可欠だ。現在、国立がん研究センターがNECと共同で、「人工知能(AI)を活用したリアルタイム内視鏡診断サポートシステム」を開発している。大腸内視鏡検査で映し出される大腸の画像について、AIが病変をリアルタイムで自動検知し、医師の病変の発見をサポートする仕組みだ。 「プログラム開発は、空港などで行われている顔認証システムがヒントになりました。たくさんの乗客の中から、ターゲットの顔を瞬時に識別する技術を応用すれば、大腸の病変も発見しやすいと考えたのです」  こう話す国立がん研究センター中央病院内視鏡科の山田真善医師は、斎藤豊科長と共に、このAIサポートシステムの開発を主導している。'15年、アイデアを具体化すべくNECとの共同研究に着手し、同病院の内視鏡画像約5千例をAIに学習させた。 「大腸内視鏡検査の画像に写るポリープや早期がんに印をつけ、AIに1枚1枚病変を覚えさせたのです」



■人間と同等の病変検知能力を
 山田医師は、大腸内視鏡検査や内視鏡的切除術を得意とし、日々の診療は多忙を極める。診療後、画像の病変部分に印をつけ、AIに覚えさせる手作業は深夜にも及び、5千例の学習が終わるのに約2年の歳月を要した。そして、学習で用いていない病変画像705枚と、病変のない画像4千135枚で精度を確認したところ、AIが正しく診断した確率は98・8諭診断サポートシステムとして、発展可能な状態に到達したのである。今年10月の日本内視鏡学会総会で発表された。 「現在は、欧米の報告で発見が困難とされた比較的平坦な病変や、陥凹している病変の学習に着手し、開発を加速させています」  最新のAIは、単に記憶するのではなく、学習のときに人間が教えたデータとAIが間違ってしまった部分について、自らプログラムを修正するため、精度が上がりやすい性質を持っている。画像認識の世界では、AIはすでに人間の識別能力を凌駕したといわれるほどだ。 「今後は、大腸内視鏡検査の現場でAIサポートシステムを導入したときに、人間と同等の病変検知能を持つか、検査時間が長くならないかなどを検証していくことになります」  実際の現場でも、性能が十分に確認できれば、開発の目的である人間の見逃しを減らすことにつながる。山田医師は、「検査時間の短縮と精度は、常に現場で求められていることであり、2年後の実用化を目指して研究開発を進めています」と話す。  この新たなシステムは、世界的にも注目を集めている。カナダやアメリカなど世界各国で、大腸内視鏡検査の見逃しをなくすべく、AIを用いたシステム開発を行っているからだ。その背景には、AIの急速な発達があった。AIは20世紀半ばに誕生し、その後の開発で、'06年にはディープラーニング(深層学習)システムが登場。「検知、分類、識別」を瞬時に行えるようになった。この技術は、応用範囲が広い。たとえば、現在、がん治療では、がん細胞の遺伝子解析により、その遺伝子にとって効果の高い薬の選択が可能になっている。かつては、遺伝子解析に膨大な時間がかかっていたが、AI技術によって簡便に行えるのだ。  一方、AI技術を内視鏡検査の画像で応用しようという動きも盛んになっている。国内では胃がんにおいて、今年、内視鏡検査の画像でがんの疑いを判別するAIを用いたシステム開発が発表された。胃がんも、胃炎などが生じていると、がんの判別が難しいことがあるため、'20年に実用化すべくその克服を目指している。このように、国内外で競争が激化する中、山田医師は、大腸がんの技術革新で将来を見据えていた。 「今回の大腸内視鏡検査の新たなシステムを実用化した後に、病変の質的診断や悪性度を予測できるようなプログラムの導入も考えています。より精度の高い診断に役立つシステムを構築し、大腸がんの克服に貢献したいと思っています」



■世界最高の内視鏡技術を守り
 山田医師がシステム開発にこだわるのは、内視鏡技術のさらなる発展への思いが強いからだ。医療機器へのAIの活用が、医療の高度化や個別化医療の実現に向けて期待される一方で、内視鏡機器も、超拡大内視鏡やレーザー内視鏡など日進月歩で新たな技術が開発されている。もともと日本の内視鏡技術は、先人たちの努力により常に世界で最高水準であり、世界をリードしてきた歴史を持つ。いわば、内視鏡技術は日本の伝統技術ともいえる。それを守りながら、山田医師は、AI技術を応用した内視鏡技術のさらなる進化を目指しているのである。 「AI技術を応用した内視鏡技術の進化により、マンパワー不足の医師の現場をサポートし、患者さんが受診しやすい環境を整えることは可能だと思っています。日本から世界に向けて、医療の未来を変えたいのです。そのために、取り組むべきことはまだ多いといえます」  最先端の技術は医療を底上げし、多くの人に貢献している。技術革新は進行中だが、国内の大腸がん検診率が、他の先進国と比べてはるかに低いことなどから見れば、適切な医療を受けられない患者もいる。それを克服すべく、未来の医療のために山田医師は尽力している。

(2017年11月号掲載)
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