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私立大学淘汰‐文科省が急ぐ本当の狙い
危ない大学が100校超も
文科省は国立私立大の実態を把握せず財政支援などで再編を図るが大間違いだ---教育研究者 小 川 洋


■私大に国立大傘下か退場迫る
 私立大学をめぐっては、「半数近くが定員割れ」「偏差値〇〇以下は潰れるだろう」「地方・小規模・単科が危ない」など、その消滅危機が指摘されている。背景には「18年問題」がある。18歳人口はこの10年ほど120万人程度で推移してきたが、'18年から減少が始まり、十数年後には約100万人となる。  近年の大学進学率を前提とすれば、進学者数は10万人近く減ることになる。入学定員500人規模の大学200校が消える計算だ。学納金を最大の収入源とする私大の採算ラインは定員の80パーセントといわれるが、すでにラインを割った私大も100校を超えている。  政府・文科省も具体的な対策を探り始めている。文科省は'16年4月、省内に「私立大学等の振興に関する検討会議」を設置し、この5月には報告書が提出される予定になっている。また内閣府の「経済財政諮問会議」では、今年4月の会議に大学再編に関する提言が出され、6月の「骨太の方針」に盛り込まれる見通しだ。  検討会議の報告書の素案となる「審議のまとめ」を読む限り、最終報告書は次のような厳しい内容になると思われる。  第一に、早期の経営判断が行われるよう支援・誘導し、状況に応じて踏み込んだ指導・助言を行う。第二に、経営破綻に際し,学生の修学継続の保障のための仕組みや授業料の保証等、転学支援の在り方、学校法人が解散した際の学籍簿の扱い等について検討し具体化する。第三に、学校法人の破綻の際の処理手続きに関する法制や運用全般について必要な改善を図る──である。  また諮問会議では、設置者の枠を超えた再編が論じられている。例えば、地方国立大学は地元の公立大学や私大を傘下に置いて、全体として地域の人材づくりの役割を果たしてもらうという提案である。その際、この枠内に収めるメリットのない私大には退場を促す。



■短大が四大化するも経営難に
 '14年3月に発行された『講座 警察法』(全3巻、立花書房)に、北村氏は「外事警察史素描」という論文を内閣情報官の肩書で寄稿して、専門家の間で話題になった。外事警察とは公安警察のなかで、外国諜報機関の諜報活動、国際テロリズム、戦略物資の不正輸出、外国人の不法滞在などを捜査するが、論文では外事警察の「課題」を指摘している。  しかし、政府内部のこれらの議論が依拠する情報は、マスメディアで流通しているレベルをあまり超えていないようだ。諮問会議の関係者からは「文科省が全体像を示さない」との不満も漏れているようだが、実は文科省自身も私大の実態について十分に把握できていないはずである。私大はこの20年だけでも425校から600校に増えた。そのうえ、改革の掛け声の下、既存私大の学部・学科の改組も目まぐるしい。文科省は開設あるいは改組後の4年間、設置計画の履行状況について文書による報告を求め、必要に応じて実地調査も行っているが、私大の運営や経営の状況を正確に把握するのはほぼ不可能だ。  筆者は、私大定員割れの状況を検証する作業を進めるなかで、四大化した短大が多くあること、それらの大学の将来が暗いと予測されていたことを知った(清水義弘著『短期大学に明日はあるか』学文社、'92年刊)。  この示唆にヒントを得て、定員割れ私大の分析を進め、昨年末に『消えゆく「限界大学」』(白水社)を上梓した。開設時期と設置母体をクロス集計してみると、清水氏の予言どおり、定員割れ私大の多数は短大が改組転換して四大となったものであることが明らかになった。  なぜ多数の短大が四大化したのか。理由は三つある。第一に、女子の四大志向の強まりである。学生の90パーセント以上が女子だった短大は急速に志願者を減らし、多くが定員割れに追い込まれていた。第二に、'85年から激化した受験競争である。私学や予備校の関係者の間では「ゴールデンセブン」として知られている時期だ。有力私大だけでなく短大も受験料や入学金などの多額の臨時収入を得た。第三に、ステイタスとして大学を持ちたいという動機である。私立短大の多くは、中学高校を経営する学校法人が'60〜'70年代に女子の高学歴志向に応えるかたちで開設したものだった。臨時収入と規制緩和によって、大学が手の届くものとなったのだ。  しかし大学となったものの、その多くは学生募集に苦戦している。理由は簡単で、内実にあまり変化がなく魅力に欠けたからである。  定員割れの急増は、「定員割れした短大」が「定員割れする四大」になったことで大部分が説明される。もちろん例外はある。同じような条件で開設されても安定的に学生を得ている大学もある。それらに共通しているのは、教育研究を活性化させる学内環境、それを促す組織の健全性であり、適切な人材の存在だ。  寒冷地における高齢者の健康問題などに取り組む、長野県の松本大学はその典型である。逆に親族や宗教組織などで固められた閉鎖的な大学の多くは不振に陥っている。  実は定員割れ私大が目立つのは、北海道を除けば愛知県や千葉県など、大都市圏のとくにその周辺部なのである。島根県には現在も私大が一つもないなど、もともと地方では私大の比重は小さい。その意味では、私大の統廃合を契機とした高等教育の再編という政府の目論みは、実現可能性が低いといわざるをえない。



■役人の天下りが活性化を削ぐ
 また法人化以来、国立大には多くの文科官僚が理事などとして天下りしている。しかしその結果、管理ばかりが強化され、研究活動は委縮しがちになっているという話をよく聞く。実際この10年ほど、日本の科学論文数は大幅に減少している。似たような話は公立大にもあって、公立化された大学が地方自治体の幹部職員の天下り先になっているという事例も散見される。経営に失敗した私学関係者は公立化により免責され、大学経営の知識も経験もない自治体職員の席が増える、という無責任な構図である。  運営が順調で経営的にも安定している私大に共通する特徴の一つは、事務部門に優秀な人材が得られていることである。専門性を持った優れた事務職員が的確な情報収集と経営判断のデータを用意し、理事会が経営の方向性を決定する。教員は教育と研究に専念して成果を上げる。さらに、その強みを前面に出して学生募集を確実にする、というサイクルが生まれることで大学は活性化する。  政府・文科省が大学を真剣に活性化するというのであれば、国公私立を問わず、このようなサイクルが内発的に生まれるように経営環境を整える支援に徹するべきできある。  文科省は先日も地域貢献の中長期的計画の策定を前提とした、私大限定の財政支援計画を打ち出した。地方私大のなかから存続可能なところを選別するという意味がある。  文科省は、一部の先進的事例を示して各地で同様の取り組みを促したいのであろうが、意欲的な大学は自発的に取り組んでいる。動きが緩慢な私大の多くは必要な人材を欠いているのが実状である。財政支援が与えられても無駄になりかねない。すでに生き残る私大と消える私大を見極める段階に来ている。

(2017年6月号掲載)
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