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肺がん肺葉切除‐ダビンチ治療の威力
かつての胸腔鏡下手術に代わるロボット支援下手術は今年4月に保険収載された
ジャーナリスト 安達 純子


■遠隔操作で医師が自在に制御
 今年4月、新たに12分野でロボット支援下手術(ダビンチ治療)が保険収載された。医療機器のついたロボットアームの先端を小さなキズから身体に挿入し、医師が遠隔操作で行う手術である。  '12年には前立腺がんの前立腺全摘術、'16年には腎がんの部分切除がすでに保険収載され、泌尿器科領域では、ロボット支援下手術は普及している。しかし、今回保険収載された呼吸器外科領域、消化器外科領域、婦人科領域、心臓血管外科領域では、ロボット支援下手術を行う医師の数も施設も少ないのが現状だ。では、ロボット支援下手術はどれだけメリットがあるのか。実は、手術を大いに進化させる可能性を秘めていた。たとえば肺がんである。  今回、肺がんの肺葉切除でロボット支援下手術の保険収載が認められた。肺は、右肺で三つ、左肺で二つの計五つの肺葉から成り立つ。かつて肺葉切除は、脇の下を20堕度切開して行う開胸手術が一般的であった。医師が自らの目と手で確かめながら手術を行うため、精度の高い手術が可能となるが、手術による傷跡が大きくなる欠点がある。それを抑制するため、約20年前から脇の下に小さな穴を開け、棒のような医療機器を挿入して医師がそれを操作して行う胸腔鏡下手術が実施されるようになった。  ロボット支援下手術は、胸腔鏡下手術のように小さなキズで済む点では同じだが、胸腔鏡下手術とは操作性に違いがあるという。 「胸腔鏡下手術は、肋骨の間に棒のような医療機器を挿入します。肋骨を支点にそれを動かさなければならず、先端の鉗子などを操るには、技術を要する。それがロボット支援下手術では、ロボットアームの先端は、人間の手首以上に自由自在に動かすことができ、遠隔操作で医師が思うように動きを制御できるなど利点が大きいといえます」  こう話すのは、順天堂大学医学部附属順天堂医院呼吸器外科の鈴木健司教授。'17年の肺がん手術は国内第2位の症例数で、昨年1月から開始したロボット支援下手術では、国内最多の実績を誇る。 「カメラワークも、二次元の胸腔鏡下手術に対し、ロボット支援下手術は三次元で患部の拡大もスムーズに行えます。まるで開胸手術を行うような感覚で精密な手術ができるほど、操作性に優れているのです」



■実施できる医師や機関は少数
 胸腔鏡下手術は、棒のような医療機器ゆえに、医師が肋骨を支点に仮に1動かしたときに、先端が3〜5も動くようなことが起こる。支点から先端が遠くに離れれば離れるほど、手の動きと先端の動きには狂いが生じるのだ。また、先端の医療機器も固定されて動きが制約されるため、胸腔鏡下手術を行うのは熟練技が必要といわれる。  さらに、手術を行う医師と、別の棒の先端についたカメラを操る医師との連携も欠かせない。  ロボット支援下手術は、先端の医療機器の操作性、カメラワークなど、胸腔鏡下手術よりもメリットが大きい。今回、ロボット支援下手術が保険収載された肺の「縦隔腫瘍」(左右の肺の真ん中にある組織に発生した腫瘍)も、従来の手術とガラリと変わり低侵襲になる。ただし、医療機器は操作しやすくても、肺の手術そのものが難しい。 「肺葉を摘出するときには、心臓から血液を送り出す肺動脈に注意が必要です。肺動脈は、鉗子で触れるだけでも大出血につながる可能性があって命に関わるのです。万が一のときに、適切に対応できる医療機関でないと、ロボット支援下手術は導入できません」  鈴木教授は、昨年1月から今年3月まで、93例のロボット支援下手術を行っているが、全国的に実施している医師は少なく、50例未満の症例数や、1〜2例しか行っていない医療機関もある。今回の保険収載では、施設認定基準が設けられており、症例数、医師の経験や知識、緊急手術の体制などの項目を地方厚生局に届け出なければならない。  また、日本ロボット外科学会や日本呼吸器外科学会でも、実施できる医療機関や医師の要件や登録体制を整えており、保険収載されたからといって、どの医療機関でも肺がんのロボット支援下手術をすぐに行える状況ではない。 「患者さんにとっては、手術の小さいキズや回復の早さ、そしてなによりも、肺がんをきちんと治すことが重要でしょう。がんをしっかり治すためのロボット支援下手術の全国的な普及には、まだ時間がかかります。しかし、将来的な手術の進化に、ロボット支援下手術は、大きな可能性を秘めているのです」



■合併症や再発にも手術で対応
 肺がんは、60歳以降の高齢者に多く発症する。生活習慣病や心臓病などの合併症を患って、手術不適用になるケースもある。肺がんの状態は手術可能でも、身体的に手術が不適応の場合がある。これを打開するため、鈴木教授は、他科と連携しながら合併症を伴う人の肺がん手術を行い、日本一の実績を持つ。さらに、肺がんの進行度合いによっては手術が難しいこともあるが、鈴木教授は、これまで幾つもの難症例に挑み、他の病院では手術が無理といわれた患者を救ってきた。 「進行がんに対しては、手術、化学療法、放射線療法と組み合わせた集学的な治療を行いますが、再発した肺がんに対するサルベージ手術にも力を入れています。患者さんにとってメリットが大きく、外科医としてやりがいも感じています」  肺がんが再発した場合、手術は適用されないのが一般的だ。それでも鈴木教授は、治る可能性を高めるために手術に挑む。集学的な治療を終えた肺は、機能低下などの合併症を伴って手術の難易度がさらに上がるが、これまで幾つもの成果を上げている。そのクオリティーをロボット支援下手術が、さらに後押しする。 「血管や気管支を作り直すときの縫合は、ロボット支援下手術の方が、操作に慣れれば素早く正確に行えます。難しい形成手術ほど、ロボット支援下手術は向いていると思います。ロボットが進化してコストも下がれば、さまざまな応用が可能です」  現在、ロボット支援下手術の医療機器メーカーは1社しか承認されていない。1台約3億円、維持費に数千万円と費用がかさみ、今回の12分野で一気に保険収載されても、すぐに導入できない医療機関はある。ただし、国内外では新たな医療機器の開発が進行中だ。近い将来、さまざまなロボット支援下手術用の医療機器が登場することで、さらなる操作性の進化やコストダウンなどが期待できる。 「10年後には、肺がん手術が大きく変わると思っています」  難治性肺がん克服のためにも、ロボット技術の進展は待ち望まれる。

(2018年5月号掲載)
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