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電気自動車戦争‐EUが日本を巻き込む
仏・英が23年後にガソリン車禁止
日本メーカーのEV技術は世界でもトップ級だがEV戦争は技術以外の闘いに


■「CO2低減」でEVブームに沸く
「フランスは2040年にエンジンを使った車の販売を終了させる」  今年7月、フランスのニコラ・ユロ環境大臣が発した自動車の「脱石油宣言」は、世界の自動車業界に衝撃を与えた。当初は「一環境大臣の勇み足だろう」とみられていたが、ほどなくしてEUを脱退するはずのイギリスがフランスに追従することを表明して、空気が一変した。  今や自動車業界は、EV(電気自動車)ブームの真っ只中だ。スウェーデンの高級車メーカー、ボルボは傘下のスポーツカーメーカーをEV専用ブランドにするとともに、自社でも'19年に発売するモデルについてはハイブリッドカーかEVのみにすると発表。EVとは最も疎遠そうにみえるスポーツカーのジャンルでも、ドイツのポルシェが5年後には半分をEVにすると鼻息は荒い。アウディ、BMWなど他メーカーもEVの試作車を目白押しに公表している。  欧州だけではない。米国でもEVメーカーのテスラが長距離を走れるEV「モデル3」を4万ドルを切る価格で発表したところ人気が沸騰、一瞬にして何十万台もの受注を取った。 「もともと欧州は風力や太陽光などの再生可能エネルギーによる低炭素社会の構築に前向きだった。再生可能エネルギーは石油と異なり、電気や水素などの二次エネルギーとしてしか利用できないので、EVが増えていくことは予想していた。しかし、エンジン車を今から四半世紀を待たずして無くすのは到底無理だと思う」  日本メーカーのある自動車開発エンジニアは、降って湧いたようなEVブームについてこう語り、続けた。 「無理を無理でなくする技術や社会の枠組みができ、たとえ強引であってもそういう社会に転換しそうになったり実現しそうになったとき、それに対する手当てができていなかったら、日本の自動車業界は厳しい立場に立たされる。技術的に遅れているということはないが、エンジン車と異なるEVのビジネスに慣れなくてはいけない。それは頭の中で考えているだけではだめで、とにかくやってみること、それしかない」  EVはなぜこれだけ注目されるのか。それは冒頭で述べた脱石油の最有力技術であるということだ。  地球温暖化の原因物質といわれるCO2低減が世界的テーマになっている今日において、人間が出すCO2の10〜20%を占めるといわれる自動車の排出ガス対策は急務である。 「CO2の排出規制が厳しくなればなるほどEVの優位性は増す。再生可能エネルギーを使えば、発電から走行まで、排出量をほぼゼロにできるのだから。エンジンの改良やハイブリッドでは、燃費改善の分だけしかCO2を減らせない」  日産自動車のEVエンジニアは、EVの優位性をアピールする。



■米国のパリ協定離脱が引き金
 EVの歴史は実は自動車の歴史と同じくらい長い。カール・ベンツが約130年前に自動車を発明した頃から、「エンジンと電気、どちらで走るのがいいのか」という論争はあり、EVもいろいろなものが造られた。  それが本格的に脚光を浴びたのは、走るための電気を蓄えるバッテリーの技術が急速に進化した21世紀に入ってからだった。今日販売されている三菱自動車「アイ・ミーブ」や日産「リーフ」は、一般ユーザーが自由に買うことのできるEVの第1世代。つまり、EVの進歩はこれから本格的に始まるところだ。  だが、欧州が急にエンジン車を廃止する年限を切り、技術的にはまだ生煮えのEVを強力に推してきたのはなぜか。背景にあるのは、合理的な判断だけでは決してない。  当のフランスでは、低CO2社会の実現に前向きなグループと保守派が世論を二分しており、前者は環境活動家として名を馳せたユロ環境大臣の判断をもろ手を挙げて歓迎し、後者は現実的でないとして痛烈に批判している。中立的な立場を取るフランス政府関係者は、欧州が低炭素志向を加速させることになった大きな理由は、トランプ米政権のスタンスにあるという。 「トランプ政権はCO2削減の世界的な取り決めであるパリ協定からの離脱を宣言した。米国は今でも国単位、1人あたりの両方で世界最大のCO2排出国だ。その米国がパリ協定から離脱すれば、世界が結束してCO2排出量を抑えられるようコントロールしていくというコンセプトが根底から揺らいでくる。その米国を牽制するには、石油を使わない社会がデファクトスタンダードになり、石油を主力とする国は後進的になると当の米国に思わせる必要がある」  現実的に考えれば、2040年でエンジン車を廃止することはできない公算が高く、また、フランスやイギリスがこの目標を発表した背後には政治的な思惑が絡んでいる。それでも、自動車の電動化のペースはこの発表で早まる可能性が高まった。



■「新たな価値」の実用化が勝負
 日本勢は果たしてEV化の波に乗れるのだろうか。 「技術的にはまったく問題ないと思う。よく日本はEVで出遅れたという話が出るが、当たっていない。ウチだけでなく、少なくともトヨタさん、ホンダさんはEV関連の技術の蓄積は世界のトップランナー級だ。純EVをあまり造ってこなかっただけの話だ。気をつけなければならないのは、日本勢が波に乗れるかどうかということより、とくに欧州メーカーがEVに本腰を入れ、これまでの遅れを取り戻して電気技術で日本をキャッチアップしてくる可能性が高いことだ」(前出の日産エンジニア)  もともとEVは効率がとても良い自動車で、投入したエネルギーをどれだけ走るエネルギーに変換できるかを表す熱効率では約80%と、ガソリン車の2倍以上である。この事実はこれからの伸びしろが小さいということを意味する。 「技術力だけで勝負をしていても、いずれ追いつかれて競争力は確実に落ちる。そうなる前に、EVをただ移動するためだけの乗り物でなく、EVが何か新しい価値を生むようなネタを見つけ出して、それを世界に先駆けて実用化して普及させていくようなことをやっていかなければならない。それができれば、現在、市販EVが少なくても、日本が世界をリードし続けることは十分に可能だ。ただし、それは得意分野である技術開発を頑張ることよりはるかに難しい、日本がむしろ苦手としてきたことだ」(前出の日産エンジニア)  すでにEV市販を行っている日産、三菱連合に加え、トヨタは'19年、SUV「C‐HR」をベースとするEVの生産を開始する予定だ。ホンダも中型セダンのEVの量産は目前である。ラインナップは今後、急速に揃っていく見通しだが、日本が世界をリードできるかどうかは、この先、どのようなカーデザインや車内などでの革新性を世界に見せられるかにかかっている。

(2017年9月号掲載)
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