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『週刊現代』や『フライデー』を統括する編集局長になったとき、『週刊現代』にエッセイを連載していた高名な評論家Ａ氏に、原稿料以外のカネが手渡されていることを知りました。前局長の指示で、担当編集者がタクシーや会合のカラ伝票でためたカネを渡していたのです。
前局長がＡ氏の寵を得たくて始めたのです。しばらく黙認していましたが、Ａ氏の女性関係が業界紙に載り、その情報源が『週刊現代』だとＡ氏が怒っていると聞いて、私は連載とカネの提供を止めることを決断し、数回の話し合いで決着しました。
なぜ40年以上も前のことを書き出したのか――先のフジテレビの中居正広氏の性トラブルで考えさせられたからです。私のほうは事件としては微小ですが、共通するものがあります。
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役員に昇格していた前局長は私に「君はＡ氏を怒らせた。新年会にも呼んで貰えないよ」といい放ちました。出版各社のＡ氏担当は新年会に呼ばれると箔がつくと喜んでいたものです。カラ伝票を書かされていた３人のうちの１人は「Ａ氏によくして貰い新年会にも呼ばれていたのに」と不満を洩らしました。
フジテレビの港浩一氏はトラブルを知ったときすぐ女性と中居氏双方から事情を聴き、中居氏の番組を止めるべきだったのです。中居氏と親しいスタッフなどの反対や不満も沢山あったでしょうが、社長として決断すべきだったと思います。
朝日新聞は慰安婦報道の誤りを認め、削除と謝罪をし、当時の木村伊量社長は辞任しました。編集現場は執拗に反対したといいますが、木村氏は決断したのです。ＮＨＫの軍艦島番組の誤りも旧島民が指摘してきましたが、稲葉延雄会長は遺憾の意を表明しただけでした。現場の執拗な抵抗があったと聞きますが、やっと最近、旧島民に会い謝罪すると表明しました。メディアの驕りはもう許されません。
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読売グループのドン・渡辺恒雄氏が亡くなり、政官界やメディアで見せた剛腕が喧伝されました。しかし私には２月号で書いたように、ポルノ映画を一緒に観賞したときに見せた稚気溢れる姿です。私が週・月刊誌で駆けていた頃、メディアでは読売新聞の渡辺氏、ＮＨＫ会長の島桂次氏、朝日新聞の三浦甲子二氏（のちテレビ朝日）の３氏が存在感を放っていました。
さいわい私は３氏の全盛時代に仕事を含めて何遍か会い、改めて彼らの�犢簣哭瓩鯡椶療�たりにすることが出来ました。島氏は晩年は寂しかったですが、生え抜きの会長として政府の影響を排すべくネットや海外への進出を図っていました。三浦氏には朝日のオーナー・村山於藤氏の件で相談に行くと「あんなばあさんにびびるな」と励まされたものです。
編集主幹 伊藤寿男
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11月中に新規お申込みいただいた方に小冊子『老後を安心させる中高年の必須知識26』を差し上げます。
（編集後記に代えて）